2007年11月27日

逆子治療と鍼灸(3)

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2回目のエコー検診が延び延びになり、36週目に入った段階でやっと結果が判明。

しっかり治っていましたぁ! (ホッと安堵。^^;)

36週以降になると胎児も大きくなるため、今までのように子宮内を自由に動き回れなくなります。

よほどのことがない限り、このまま行ってくれるでしょう。

以前、40週近い妊婦さんに逆子治療をしたことがありました。

胎児はだいぶ動いたのですが、回りきれず最終的に帝王切開になってしまいました。


実はNさんの義姉さん(ご主人の姉)もここで逆子治療を受けて治っています。

義理の関係とはいえ姉妹で逆子を鍼灸で治したというのは珍しい。(笑)

あらためて、ツボって不思議ですよね〜。


逆子治療で使う「三陰交(さんいんこう)」というツボは婦人科系の要穴(ようけつ:重要なツボの意)として知られています。

名前の由来は3つの陰経(いんけい)が交わっていることから来ているようです。

その3つとは「肝経(かんけい)」「脾経(ひけい)」「腎経(じんけい)」です。

深く掘り下げてゆくときりがありませんので、かなりおおざっぱに述べてしまいますと、まず「肝経」が血を養ったり、精神を安定させたり、といった働きをします。

「脾経」は食物の消化吸収の要となり、「腎経」は人体の成長、発育のコントロールをしています。

もちろん各経とも働きや機能はこれだけではありませんが、これだけでもとても重要な経絡(ツボの流れ)であることはお分かりいただけますね。

逆子治療には必ずしも必要ない、という先生もおられますが、妊婦さんと胎児の健康状態を良くするためには三陰交併用がベターであると考えます。


「至陰(しいん)」というツボは「膀胱経」に属し、最後のツボです。

足の太陽膀胱経(あしのたいようぼうこうけい)というのが正式名称で陽経(ようけい)です。

陰経とか陽経とかの説明を始めると話がそれて行きそうですから、なんとなくのイメージで捉えておいてください。

陽経なのに「至陰」という陰の字が付いています。

由来を調べると、ここから陰に向かって転換してゆく、つまり陰に至るツボ、ということのようです。

これは私の推測ですが、(根拠らしい根拠はありません。^^)「至陰」は「子宮」を指しているのではないかと思っています。

東洋医学の陰陽論でゆくと体表(皮膚)は陽、体内に入ってゆくほど陰が強まります。

子宮や卵巣は陰が極まった場所に存在しており、「至陰」とつながっているのではないかと思うのです。

だからこのツボに刺激を与えると逆子が治るのではないかと思うのです。(都合の良いこじつけかな〜。笑)


少し読者の皆さんの頭がこんがらかったところで、最後に「補(ほ)とシャ(しゃ)」について述べてみます。

逆子治療と鍼灸(2)で少し述べましたが、「三陰交」には「補」のお灸、「至陰」には「シャ」のお灸をするのです。

これを間違うとかなり効果は落ちてしまいます。

簡単に言うと「補」のお灸とはやわらかい刺激、つまり熱すぎないようにします。

「シャ」のお灸とは、一瞬「あつい!」と感じるような刺激を与えます。

なぜこうでなければならないのかは、…不明です。

先人達の長年の積み重ねから得られた真理ですから。^^)

私のこじつけ論から行くと、「補」はおぎなう(気や血など)の意味とゆるめる、という概念も含んでいると思います。

「シャ」は排泄する、過剰なものや邪気を外に出す、の意味のほかに締める、緊張させるという概念もあると思います。

つまり自律神経でいうところの交感神経と副交感神経的な役割分担を、この2つのツボの「補シャ」刺激でさせているのではなかろうか、などと思うのです。

さらに頭がこんがらかってきたところで、今回はこれにて終了とします。

なんと無責任で乱暴な終わり方でしょう。(笑)

とにかくこの2つのツボを使って治療をすれば(一定の条件が必要ですが)逆子はかなり治りますよ。(^^)

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posted by かもめ at 13:44| ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 逆子治療と鍼灸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月29日

逆子治療と鍼灸(2)

逆子治療と鍼灸(1)に戻って読む

妊娠30週で逆子になってしまったNさん、2回の治療の結果、無事に戻っていました。(よかった、よかった、ほっとしました。わーい(嬉しい顔)

しかし30週頃というのはまだまだ胎児がよく動き回ります。

まだ安心できないなぁ〜、と思っていた矢先でした。

「昨日、おなかの中でくるんと回る感じがしたのよね。ひょっとしてまた逆子に戻ったんじゃないかなぁって。」

(あれまぁ〜、やっぱり…^^;)

次回のエコー検診は一週間後。

まぁ一喜一憂せずに、最終的に正常位であればいいことですから、36週くらいまでは治療を続けていきましょう。


さて、今回は逆子治療について少し具体的に紹介しますね。

病院での治療は自宅での逆子体操、場合によって飲み薬が出るくらいで、これといった方法がないのが現状です。

こうしたなか、医師の中にも鍼灸を併用する動きが少しずつですが増えてきています。

元産婦人科医の兄も積極的に使っていたようでした。

安全性を考えるとこれが一番よい、そう言っています。

逆子で悩んでいる方には、こういう方法もあるんですよということを是非知ってもらいたいと思います。

逆子治療で使うツボは2つ

 三陰交(さんいんこう) 」と「 至陰(しいん) 」で、ツボの位置は足のうちくるぶしの上と足の小指の先です。 


三陰交_0001.jpg
三陰交

内くるぶしから膝に向かって4〜5センチ上がったところ


左右にあります。








至陰_0002.jpg至陰

足の小指で、爪の生え際(外側です)

左右にあります







なぜそんなところなの?と聞かれても明確には答えられません。わーい(嬉しい顔)

東洋医学やツボは先人の長きにわたる経験の積み重ねでできあがって いるのですから…。

これらのツボに灸をします。

私の場合は、三陰交に灸頭鍼(きゅうとうしん)、至陰には直灸(じかきゅう)というやり方でやっていました。

成功率は7割くらいです。

灸頭鍼とは鍼を打ってその頭の部分にもぐさをくっつけて燃やす方法、直灸とは皮膚に小さなもぐさを直接立てて燃やす方法です。

安産灸ネットワークも同じツボを使っており、どちらのツボにも直灸です。

発表されているデータによると30週の方で71%の成功率です。

至陰だけでも十分、という先生もおりますが両方使ったほうがベターだと思います。

東洋医学には「補」と「シャ」という概念があります。

簡単にいうと「補」とは補う、の意。「シャ」とはその逆で取り除く、泄するの意です。

基本的に三陰交には「補」、至陰には「シャ」の刺激です。

その辺のことは次回、書いてみたいと思います。(気長に待っててくださいね。)^^)

それよりなにより、Nさんの逆子、成功してくれー!(笑)



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posted by かもめ at 19:39| ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | 逆子治療と鍼灸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月16日

逆子治療と鍼灸(1)

妊娠30週に入ったNさんがニコニコしながら来室されました。

「何かいいことあったの?」

「午前中の検診で、逆子(さかご)だって言われたの。」

「エッ、逆子?」

「それ聞いて、思わず吹き出しちゃったもんだから不思議そうな顔をされたわ。」

あっけらかんと笑っています。

(そりゃそうだ、ふつうはショックを受けたり落ち込んだりするよなぁ…。)

「わたし、一度受けてみたかったの。例の逆子の治療。」

(あぁ、そうか!なるほどそういう訳だったのかぁ…。)


実は9月に逆子治療の講演会(主催:安産灸ネットワーク。実技指導もあり)が東京で開催され、参加して来たのです。

帰ってから治療中に冗談交じりで、「逆子治療の講習に参加してやりかたバッチリ習って来たから、Nさん、もし逆子になっても大丈夫、安心だよ〜!」

その時のやりとりが走馬灯のように……。(笑)

Nさんはその時の会話が印象的だったようで、(逆子治療を一度体験してみたいなぁ。)と、思っていたのだそうです。

それが思いがけず現実となってしまったので、つい医師の前で笑ってしまった、というのが真相だったのです。

逆子を告げられ嬉しそうにする患者さんなんて、先生も驚いたでしょうね。(笑)

かくして数日前、第1回目の逆子治療をしました。

今回は以前からやっていた自分なりのやり方ではなく、安産灸ネットワークの手法をそっくりそのまま使ってやってみようと思います。

はたしてうまく行くのか、はたまた試練の道が待っているのか…。

「逆子治療ならまかせてちょうだい!」と、言い切ってしまった以上、なんとしても治ってもらわなければメンツが立たない!(笑)

書きながらもだんだんプレッシャーがかかってきました〜。

でも、うれしいプレッシャー!

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posted by かもめ at 08:07| ☁| Comment(7) | TrackBack(0) | 逆子治療と鍼灸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする