津軽にリンゴ農家をしている木村秋則さんという偉人がいます。
去年12月にNHKの「仕事の流儀」で放映された内容を、
鍼灸師仲間のクリ助さんから送っていただき、もの凄い衝撃を受けました。
番組を観た方も多いと思いますが、ご存じない方のために書きたくなってしまいました。^^)
この木村さん、世界で初めて無農薬(天然の酢は使いますが、化学的に合成されたものは一切使いません。)
無肥料でリンゴ栽培に成功したのです。(野菜よりはるかに果物は難しいといわれています。)
それだけでも驚きですが、そのうえ味もプロの料理人を唸らせているのです。
1個300円しますが、ネットで販売すると10分で完売だそうです。
(一度食べてみた〜い。)
そして、ナント腐らないそうです。(ハァ…?と、最初は理解不可能であった。)
枯れるようにしぼんでゆくだけ…。
2年経ったリンゴをスタジオに持ってきてくれました。
司会者の話では甘くいい香りがしてお菓子のようと…。
ウ〜ン、にわかには信じられませんが、現実のことなのです。
このリンゴを作り上げるまでには木村さんと家族の長い苦難の道のりがありました。
きっかけは木村さんと奥様が負った農薬によるひどい皮膚障害でした。
そのときたまたま目にした一冊の自然農法の本に感銘を受け、前例のないリンゴの無農薬栽培へのチャレンジを決意したのです。
しかし、失敗、挫折の連続で、くる年もくる年も病害虫を克服できず、結実どころか花さえ咲かせられない状況でした。
それまで農薬、化学肥料をふんだんに使っていた農法は、それをやめることにより反動が出たかのように害虫が大発生し、
いくつもの病気に襲われるという状態に陥ってしまったのです。
まるで禁断症状に苦しむかのような木々の姿…。
収穫ゼロですから、年々家族4人の生活は困窮し、周囲のリンゴ農家から『カマド消し!』と陰口をたたかれます。
『カマド消し』とは津軽の言葉で、家の財産を食いつぶす者、とか、破産をしてしまった人のことを言います。
木村さんは絶望の果てに、死に場所を求めて、岩木山をさまようことになったのでした。
そこで、ふと目にした光景。
雑草に囲まれながらもみごとに実をたわわにつけているどんぐりの木。
「なぜ、農薬も肥料も施さないのに害虫や病気にやられることなく、こんなに元気なんだろう?」
ハッと思って根元の土を掘ってみる。
素手で簡単に掘れるくらい柔らかいではないか。
ふわふわ柔らかい土に草が見事に根を張り巡らせている。
どんぐりの根も同じように土の中で充分根を張りめぐらせているのに違いない。
リンゴもこれと同じ環境で育つなら虫や草と共存して実をつけてくれるのではないか….
もう一度土作りからやり直そう、そういう思いに至ったというのです。
死の淵で見つけたヒントを胸に、木村さんは強固な信念でチャレンジを再開します。
試行錯誤の繰り返しの中で、常にリンゴに問いかけ、反省し、悩んだり、喜んだり、落胆したりの毎日だったと思います。
リンゴと真剣に向き合い、観察し、どんな小さなことも見逃さない。
私の目がクスリであり肥料であるのです、と言い切る凄さ。
しかし、手をかけすぎてはならない。
リンゴが本来持っている自然の力を最大限発揮できるように補助するのが人間の役目であって、
主役はあくまでリンゴなのだと木村さんは悟ります。
リンゴは正直で、手を抜くとすぐ結果となって現れるのだそうです。
結果が悪かったらリンゴに向き合い問うてみる、バカになって考えれば木が教えてくれる。
そんな積み重ねの中で、少しずつ、真理を体得していかれたのでしょう。
@ 育てない。手助けするだけ
A 主人公はリンゴ
B 答えはリンゴに聞けこうした木村さんの考え方、信念は東洋医学と非常に共通しています。具体的には、先述の鍼灸師・クリ助さんのブログ記事に詳しく書かれていて、個人的に120%共感を覚えました。
鍼灸に携わる方だけでなく一般の方にも是非読んでいただきたいと思います。
東洋医学とりんご栽培―「仕事の流儀『リンゴは愛で育てる』を観て最後に
現代社会はいまのままでいいのだろうか…、という思いが湧き上がってきました。
リンゴに限らず農業全体の問題として、合成農薬、化学肥料を大量に使わなければ
栽培できないような環境になってしまっています。
酪農や養殖漁業だってそうだし、食品添加物は知らぬ間に体内にドンドン入り込んでいます。
そのうえ、日本人の薬の消費量の多さも以前から指摘されています。
体内に入った化学物質は自然治癒力を低下させ、かえって病気になりやすい体を作ってはいないでしょうか?
木村さんが作る自然農法のリンゴは腐らない、枯れてゆくだけ…。
人間も病気で苦しまず、枯れるようにあの世に行けたなら…考え込んでしまいました。
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