これまでの医学の常識では、突発性難聴はなるべく早く病院へ行き、できれば入院してステロイドを点滴しながら最低1週間は安静に過ごす、というものでした。
この原則は今も変わりません。
とにかく早く耳鼻科を受診して、治療をスタートしてください。
治療開始して1週間から10日で治る方が約1/3、多少の改善が見られるのが約1/3です。
残りの方はほとんど改善がないまま退院となり、発症後1ヶ月を過ぎると「もう症状は固定化されました。」とか、「これ以上は治療を続けても改善の可能性はほとんどありません。」と言われます。
もう治療のすべはなく、あとはこの状態に慣れてもらうしかない、つまり片耳の不調を抱えたまま一生を過ごすことを受け入れてください、と宣告されるわけです。
入院治療でこうですから、ましてや発症後2週間とか1ヶ月経過してから病院を受診した場合には、もう手遅れといわんばかりの対応がほとんどで絶望の底に突き落とされてしまいます。
私の場合は、いろいろラッキーが重なった結果だったのでしょう。
発症当日から治療開始できたことは大きなポイントだったと思います。
ですが、それは条件のうちのひとつにすぎません。
発症後なるべく早く病院に行くことは大切なポイントですが、
早く受診してもほとんど効果が出ないことも多々あります。
長年の経験から、この病気は早く受診さえすれば簡単にどんどん治るものではないのです。
聴覚神経のやられかた、障害のパターンを把握することなく、過度の期待を抱かせるサイトも見受けられます。
治りやすいケース、治りにくいケースはどこで決まってくるのか。
治りやすいケース、治りにくいケースが厳然と存在しますから患者さんの状況、パターンを説明してあげて治療計画を一緒に立ててから治療をスタートすることが大切です。
難聴の程度は4つに分類されます。
@ 軽度難聴 :10〜40dB
A 中等度難聴:40〜70dB
B 高度難聴 :70から100dB
C 最高度難聴:100dB以上
病院の検査により、軽度の難聴ですねとか、高度難聴ですねとか言われる場合がありますが具体的にはこういったことから分類しているわけです。
dB(デシベル)とは音の大きさ、強さを表す単位で数字が大きいほどうるさい、強い音になります。
たとえば10〜20dBの音は、ささやき声や木の葉の触れ合う音くらいですから生活上ほとんど問題にはなりません。
30〜40dBの障害では、自宅で一人で過ごしている時や1対1での会話でもさほどの不便は感じないですが、職場で多人数での会議や狭い部屋でのがやがやした環境ではかなり集中して聴かないと聞き取れない状況が発生します。
50〜60dBの音の大きさは、洗濯機や掃除機の音のレベルになりますので結構うるさく感じます。こうした音が聞こえないのですから生活上支障が出てきます。
80〜90dBになると電車や地下鉄の車内や工場内のうるさい場所くらいの音になりますので、かなりうるさい音です。
ですから高度難聴になった方にとっては、普通の人がうるさくてたまらないような場所の音も聞こえない状態といえます。
片耳とはいえ、もしそうなってしまったら不便極まりないと思います。
病院での聴力検査(オージオメータ)で40dBより良い状態なら、早期治療でほぼ完治する可能性があります。
50〜70dBだと完治する可能性も3割くらいありますが、聴こえは戻ってもも多少の耳鳴りや耳閉感は残ることもあります。
80〜90dBだと、うまくいって、そこそこ日常生活がOKかな、というレベルが目標になります。
スケールアウト(難聴の程度がひどく数値が測定できない)が並ぶような場合は かなり厳しいかなぁ、という感触です。
全く聴こえない状態から、なにか聴こえているかな?という状態や、雑音として聴こえる、くらいまでは戻るようですが、クリアーに聴こえるというところまでは難しいかもしれません。
ただケースバイケースですので、ダメもとでチャレンジしてみる意義は十分あります。
鍼灸は副作用の心配がありませんからその点は安心ですね。
糖尿病や心臓病などでステロイドなどの薬を使えない方や妊婦さんなどにも心配なく治療を受けていただけます。
Produced by かもめ針灸治療室
2024年04月06日
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