症例
〈血瘀症(けつおしょう)による突発性難聴〉
46歳 Cさん 男性 会社員(営業)
症状
@右耳難聴(全音域高度難聴70〜80dB)
Aめまい(浮遊感)
B耳鳴り(サーッという小さめの音)
C閉塞感(物を詰められている感じ)
状況
発症前日、右耳の奥にツーンとした閉塞感あり。それが夜になって抜けなくなった。
翌日午前中、右耳が聞こえていないことに気付いた。
耳鼻科受診の結果突発性難聴と診断。
検査を受けている間にめまいと吐き気に襲われて総合病院に入院を勧められた。
9日間入院し、ステロイド点滴と血流促進剤、ビタミン剤投与するも改善なく退院。
退院後、ネットをみて来室。(発症13日目)
既往歴
特にないが、この数年、会社の健診で高脂血症と肝機能の数値が高い。
治療はとくにしていない。
問診
主訴以外では
@立っているとフラフラ、浮遊感少しある
A右肩が発症前ひどく凝って、もむと痛いので湿布を貼っていた
生活面、食事面、嗜好品について
5年前に離婚。食事は外食が多い。
アルコールは強くはないが、好きでよく飲む
タバコ喫煙本数 1日15本
舌診
舌色は赤黒く、汚斑が点在
舌苔は黄色くべったりとして、所々剥離あり
脈診
心、肝の脈が浮いてやや強し
腎の脈は沈んで弱し
腹診
右わき腹から肋骨にかけて圧痛あり
みぞおちから中脘部にかけて不快感あり
経過
初回治療後、めまいがひどくなり不安だったが、翌日治まった。
10回までは集中治療を実施。
集中治療後半にはふらつきや頭痛、肩の痛みが半減した。
15回治療後、聴力検査の結果は平均10dB程度改善。
28回治療後は50〜60dBの中程度難聴まで改善するも耳鳴りと耳閉感は続いている。
考察
Cさんは比較的早い段階で治療開始されたので
もう少し改善できるかなと思っていましたが、やや厳しい状況が続いています。
入院中の聴力はスケールアウト状態だったので、障害の程度が大きかったのだと思います。
※ スケールアウトとは聴力測定不能のことです
東洋医学的には、瘀血(おけつ)による血行不良が原因と考えられます。
瘀血というのは、よく言われる「ドロドロと粘っこい血液」の状態です。
Cさんの瘀血は会社の健診結果ではひどい状態ではなかったように思えますが
耳に栄養と酸素を運ぶ血管は細く、バイパス血管がありません。
今回は過労、睡眠不足などいくつかの要因が重なって血流が滞ってしまったのだと考えられます。
突発性難聴治療と並行してCさんには生活面、食事面の見直しにより、
瘀血の改善に取り組んでいただいています。
今回は突発性難聴という形で耳に症状が出ましたが、血液状態の悪さは全身に影響を及ぼします。
ガンや脳卒中、心臓病、糖尿病などのやっかいな病気にもつながることをお話し、
具体的な改善方法などもアドバイスをさせていただきながら治療を続行中です。
Produced by かもめ針灸治療室
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2017年04月27日
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