2006年05月17日

鍼灸院経営のヒント集(10) 患者さんの立場で考えてみる(後編)

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第5段階: 期待・連想 (つらい症状が楽になったらどんなにいいだろう、という想い)

慢性疾患や難病、高齢の方などは、ともすると弱音を吐きがちです。

たとえば
「この病気は一生治らないし、不自由で歩くのもひと苦労、健康な人がうらやましい…。」
とか、
「この歳になると毎年まいとし弱って行くばかり…。悪い所だらけで情けなくなっちゃう…。」
などと、やや後ろ向きの発言が初めの頃は目立ちます。

このような方には少しでも前向きになっていただくために、2つの話をします。

ひとつめは
「つらいでしょうが、あなたよりひどい方もたくさんおられますよ。」

ふたつめは
「半分でも症状が取れたら、ずいぶん楽になりますね。」

気持ちの居場所を変えることと、楽になった自分を連想することで希望をもって欲しいのです。

たとえば

「確かに車で毎回送迎してもらわなければ治療に来られない状態ですが、
駐車場からなんとか一人で来れるじゃないですか。
お風呂だって、トイレだって自分で行けるじゃないですか。

膝の手術をしたけどパッとしなくて、車椅子や寝たきりになってしまった方も大勢いますよ。

○○さんは、まだまだ良くなる見込みが十分あります。痛みゼロという訳にはいかないけれど、
半分くらいにはなると私は思います。そうしたら、自分で自転車乗ってこられるし、
家の階段だってゆっくり上れるかもしれませんよ。

私もガンバルから○○さんもあきらめないで!」

こんな感じで励まします。

ただし、励ましが逆効果になることもありますので、ケースバイケースで考えてくださいね。

たとえばガン末期の痛みや激痛性の疾患の患者さんには、激励やなぐさめより、
黙ってさすってあげたほうがベターかもしれませんから。

年配の方に対しては

継続して治療に来られている方は髪の毛が増えて黒くなったり、
足の衰えも少ないことを話してあげますと、ガンバローという意欲が出るようです。

現状の自分を脱却して、少しでも健康な状態になった姿を期待、連想させることは
とても大切なことと思います。(治療する側はプレッシャーがかかりますが…。^^;)


第6段階: 比較 (病院、接骨院、他の治療院との比較)

ある程度の効果が出始めると、患者さんは心の中で鍼灸をメインに
治療をしていくかどうか、比較検討を始めます。

病院、接骨院は保険を使えますので、その点不利な鍼灸は料金に見合う治療効果、
魅力などがなければリピーターにはなってくれません。

さらに、他の鍼灸院のみならず、マッサージや整体、カイロプラクティックなどとの競合もあります。

実際、1、2ヶ月来られては、また他へ行ったり、戻ってきたりという患者さんもいますが、
そのつどの比較で負けてしまったからでしょう。

行ったり来たりが患者さんの性格からきているのか、こっちに原因があるのか
検討する必要がありますね。^^;)


 
第7段階: 決意・決定 (自分はここで根気よく治療していくことを決意)

いろいろ比較の結果、ずっとここで治療していくと心に決めてくれた段階。

定期予約の申し出 (毎週や隔週何曜日の何時などの) があったときや、

回数券を購入されたときは、この段階まできてくれたと思います。


第8段階: 満足(毎回の治療に満足していただく)

かなりの信頼関係ができあがっています。
症状は完全に消失したり落ち着いているのですが、患者さんは今後の予防を
目的に来られている方が多くなります。

この時期は、マンネリにおちいらないよう、毎回治療に満足して帰っていただくことが大切です。

『小さな満足の積み重ね』がベターです。
『大きな満足』を積み重ねようとするとお互いだんだんつらくなってきますので、
小さいのを継続するほうがいいのです。


第9段階: 信頼( 最終段階の信頼関係)

ステップアップしてゆくためには、信頼関係が必要でした。
第3、第4、第5と進むにつれ、信頼関係も太くなってきました。

最終段階の信頼を寄せてくれますと、家族、肉親を治療によこすようになります。
家族ぐるみで来るようになれば、よほど信頼されていると考えて間違いないと思います。

このような患者さんがたくさんいればいるほど経営は安定することでしょう。(そうなりたいなぁ…^^;)


<最後に>

最後になりましたが、会話についてひとつだけ。

これは全般を通していえることですが『しゃべりすぎない』ことが大切です。

このシリーズを読まれて、私のことをしゃべりまくる鍼灸師と思っている方、誤解のないようにね…。
こうみえても人前で話すのは苦手なタイプなんです。^^;)

しゃべりすぎると、人間性も治療のイメージも軽くなってしまいますし、

肝心な話が患者さんの頭に残りません。

会話にはメリハリが大切です。ここぞというところはシッカリ、ゆっくり。

(早口にならないようにネ!)

大事なことを話したあとは、患者さんが考える時間、というか 『間』 も必要と思います。


最後まで、このシリーズにお付き合い頂きましてありがとうございました。

これをもちまして、鍼灸院経営のヒント集は終了とさせていただきます。

このシリーズを書きながら、反省や気づきも多く、いろいろ自分のためにもなりました。

鍼灸関係の皆さんだけでなく、一般の方にも、ご意見ご感想を頂き、
今後の糧にしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。



<おことわり>

鍼灸の技術的な面については、さまざまな考え方、流派、方式があり、自分に合ったものを求めて、
セミナー、研修会、研究会等も利用しながら勉強してゆくべきものと思いますので、
今回のシリーズではいっさい取り上げませんでした。^^)



Produced by かもめ針灸治療室






posted by かもめ at 18:39| 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 鍼灸院経営のヒント集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今日も投票しに来ました。

ヒント集、終わってしまって残念です。
大先輩であるかもめさんが日頃どのような哲学で経営をされているのかわかり、とても参考になりました。

私もトークが得意ではないので、患者さんとのコミュニケーションには四苦八苦しています。患者さんが無口な方ですと、治療室がシーンとなってしまいます(笑)

かもめさんのおっしゃる通り、しゃべってばかりいると、まるでトークショーなので、そこそこでいいのかもしれませんね。
Posted by クリ助 at 2006年05月18日 00:47
連載中、いつも応援をいただき、ありがとうございました。
仕事の合間に原稿を書くということは、結構大変ですが充実感も得られますね。
クリ助さんの連載はまだまだ続きそうで楽しみです。
睡眠不足になり過ぎないようにしてくださいね。^^)
Posted by かもめ at 2006年05月18日 21:40
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