2006年04月06日

「腎」と「腎臓」のちがい

慢性腰痛の患者さんは、「腎」の異常が多くみうけられます。

そのことを話しますと、

「病院の検査では腎臓が悪いなどといわれたことはないのに…。」
と、とまどわれる方が結構いらっしゃいます。

東洋医学において「腎」とは腎臓という内臓を指すのではなく、
ひとつのシステム、つまり、機能として考えています。


具体的にいくつか挙げますと

@ 発育、老化、生殖をつかさどる
A 水液代謝をつかさどる
B 呼吸作用の補助をする
C 骨をつかさどり、髄を生じ、脳を充たす
D 耳と二陰に開きょう
E 腰は腎の府

少し解説を加えます。
まず発育異常や老化の早・遅に関係し、妊娠にもかかわります。
(当然、月経異常や子宮の病気にも関連大) 

泌尿器系に影響が出ますのでオシッコの出が悪くなったり、
体にむくみが出たりします。

なぜ呼吸と関連するかというと、水液代謝が崩れ、体内に水分がたまりすぎると痰(たん)が発生し、呼吸器系を乱すのです。

腎は髄海の母でもあります。(脳や骨髄の大元の意)
髄は脳の一部であり、骨に影響を与えます。
骨粗しょう症や痴呆症とも無関係ではないのです。

腎システムの低下は耳鳴りや耳の閉塞感を起こし、二陰(尿通、便通のふたつを指す)にも影響を与えます。

腎気の中でも「腎陽」と言うものが不足してくると、足腰が冷えてだるい、手足が冷たいなどの、いわゆる冷え性が出現しやすくなります。
つまり、腎は体を温める熱源、すなわち「暖房システム」でもあります。


いかに腎と言うシステムが、多岐にわたり人体をコントロールしている重要なシステムであるかがおわかりいただけたと思います。

単に、腎臓の検査だけで腎システム全体の良し悪しは判断できないのです。

こうしたシステムが人体には主なもので12系列存在します。
それが 「肝」 であり 「心」 であり、他に10系列存在します。


この考え方は4千年前から中国の医学書に記載され、現在でも鍼灸医学の重要な柱として受けつがれています。


五臓六腑というのはもともとはシステムの総称であり、内臓を指すものではなかったのです。(日本に解剖学が入ってきて、内臓に名称をつける際にこれらのシステム名に「臓」をくっつけたのではないかと私は思っています。)

この多重システムが互いに補佐しあい、互いに抑制しあい、見事にバランスを取りながら、生体を維持、機能させて我々は生きているのです。

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posted by かもめ at 20:38| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学・鍼灸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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