2006年03月22日

ヨモギ餅

お彼岸に、患者のTさんがヨモギ餅を持ってきてくれた。

「手作りだから、お口にあうかどうか。」

聞くと、ヨモギも自分で摘んでこられたとのこと。


Tさんは、脚が悪く、お膝どころか、しゃがむこともままならない。

自由にならない体で、ヨモギを摘んでいる光景が頭をめぐった。


あん入り餅がやや苦手の私だが、昼食前に頂くことにした。

手にもつと、指に絡みつくようにやわらかい。

鼻を近づけると、ほのかにヨモギのみどりが香ってきた。


ひと口ほおばってみる。

のびる、のびる、今ここで搗いたばかりのように のび〜る。

ふんわりやわらかい餅の中には つぶあんが入っている。


うん、甘くない。

私好みの砂糖加減で、あずきの風味もさりげなく出ている。

ひょっとしてTさん、元は和菓子屋の娘だったりして…。


気がついたら、2個食べていた。

そのヨモギ餅には、Tさんの『こころ』がぎっしり詰まっていた。

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posted by かもめ at 21:03| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ・日々の雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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