2006年03月14日

頑固な肩こりと右背部痛

肩こりの原因は、十人十色、百人百様で、単一の原因から来ている場合は稀です。

いろいろの要素が複雑に絡み合っているために、治療する側によって見解が違うことが結構あります。

どれが正しいとかではなく、どの角度から診るかによって違ってきます。


仕事上、利き手を酷使している場合、右利きの人が右肩が凝るというのはやむを得ないでしょう。

ただし、いくつかの症状が一緒に出ている場合は、他にも何か原因があるのではないかと私は考えます。


お気に入りブログのひとつに、長年苦しんできた肩こりや胃の不調が、ハリ治療で劇的に治った顛末の記事がありました。

(詳しくはこちら---> 医療ライターズカフェ)

頑固な肩こりと、脂っこい食事を取ったあとの右背中の強い張痛を訴えています。

ひどい夜は眠れないほどのつらさ、これも重要なポイントです。

病院で検査しても所見は無く、単なる肩こりとの診断のことですね。

限られた情報の中での、独断と偏見を許していただけるならば、
大元は「肝」の異常と思います。

少し専門的に突っ込んでいえば 「肝気鬱結(かんきうっけつ)」の証、
そして、眠れないほどの背中のつらさ、これはさらに進んだ
「肝鬱気滞(かんうつきたい」)でしょうか。


お断りここでいう「肝」と「肝臓」は同一ではありません。東洋医学では「肝」は肝臓の働きも包含した大きな機能、システムをさします。したがって、病院の検査で肝臓そのものはOKでも、システムとしての「肝」が正常に機能しているかどうかは別問題なのです。)


著述業の方は締め切りがあるため、どうしてもイライラやストレスが大きく、また生活が不規則になりがちです。

「肝」はこれらに敏感に反応しやすい特性を持っているために、つかさどっている「気の循環作用」が低下します。

これを「気滞」といいますが、張って苦しい痛み方が特徴です。

からだは敏感にそれを察知してシステムの中心である肝臓を守ろうとします。そして、内臓ー体壁反射が起きて右上半身を緊張させます。

これが、慢性的な肩こりと右背部痛の根本原因ではなかったかと、私は考えます。

脂っこい食事のあとのつらさは、胆汁分泌異常が絡んだ症状でしょう。

胆汁は肝臓で作られます。
肝胆相照らす、と言われるように東洋医学では表裏の関係です。

これに目の疲れ、夜中の足のツレ、月経時の症状の悪化なども加わるようでしたら、さらに可能性は高くなります。


私が思うに、治療してくれたハリの先生は、多分、大元を良くするツボ、
つまり「肝」の働きを調整する治療も加えてくれていたと思います。

今度行かれたら、その辺のことも時間があったら尋ねてみたら
どうでしょうか。いい先生にめぐり合えたのだと思いますよ。

今回はちょっと専門的な話になってしまいました。

関連記事:『頑固なコリは内臓から?』


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Produced by かもめ針灸治療室
posted by かもめ at 21:55| ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 東洋医学・鍼灸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
かもめさん、ありがとうございます。なるほど〜。肝ですか。東洋医学の考え方では、器官だけでなくシステムをみるのですね。CTでも映らないはずですよね。起きているときは痛まないのに、眠ると痛くなるというのも、たぶん、寝ている間の分泌活動と関係あるのでしょうね。
とにかく、1回のハリでその痛みからウソのように解放されました。その後は肩こりがひどくならないように、自分でもいろいろ気遣っています。かもめさんのようにいろんなことを説明してくれる鍼灸士さんが近くにいたら心強いのですが。これからも、よろしくお願いします。
Posted by medwriter at 2006年03月15日 09:50
私のブログに逆子のコメントありがとうございました。

肝といえば、まさに私の肝は悲鳴をあげているところです。最近、仕事が忙しくなっていたものですから。特に私は目に来ることが多いです。太衝に鍼をして昼寝をしたいところです。
Posted by クリ助 at 2006年03月18日 16:22
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