突発性難聴に朗報(1) に戻って読む
突発性難聴に朗報(2) に戻って読む
シリーズがすっかり間延びしてしまいましたが、やっと完結編です。^^;
突発性難聴についての情報をホームページやブログで発信するようになってから、問い合わせや治療にこられる方が年を追うごとに増えています。
突発性難聴はこんなにも多くの方が苦しんでおられるのか…、そんな思いです。
完結編の今回は最近の治療例を挙げて、突発性難聴の現状と問題点、これからの課題などを考えてみたいと思います。
Mさん 30代女性。
5月下旬に突然、左耳の上に連続した強い痛み(刺痛)が出て脳外科を受診、異常なし。
数日後、ひどい左肩こりと左耳鳴りが出現し耳鼻科を受診、突発性難聴と診断。
ステロイド剤を服用しながら様子を見たが効果なくネットで鍼灸治療を知りTELにて相談あり。
その後、肩こりが激痛に変わり、数日間睡眠も取れないほどになってしまった。
6月上旬1回目の治療。その夜から熟睡できるようになった。
2回の治療で左肩の痛みは取れたが左耳のこもる感じは著変なし。
この時点で聴力検査を実施するもオージオグラムには変化なし。
さらに数回の治療を続けるうちに徐々に耳のこもり感が取れてゆくのを実感。
6月下旬、聴力検査。250dBでの聴力以外は基準内に入りほぼ完治に近い状態となる。(臨床的には完治)
この方はとても順調に完治できた例のひとつです。
問診の際、オージオグラムを見て完治が期待できるケースであると直感していましたが、予想どおりに治ってくれました。
みなこのように行けばうれしいいのですが現実はそう甘くはありません。
1年前の症例、56歳男性、0さん。
1週間の海外出張から帰国後に左耳に発症。
9日間の入院治療を受けるも改善なく退院。
さらに通院しながら星状神経節ブロック注射を行うも全く効果なく、ネットでハリ治療を知り来室。
この方のオージオグラムはほとんどの音域でスケールアウト、つまり測定不能なほどの超高度難聴でした。
短期集中的に31回治療を行った結果、オージオグラムには徐々に変化が現れ測定可能値にまで回復したのですが、残念ながら聴力は戻りませんでした。
実は…、多少は戻ったのです。
ただ、戻ったのは雑音だけでした。
それまで全く聴こえなかった左耳に雑音だけが聴こえるようになり、肝心の音声が聞こえないというのはかえってイライラやストレスが増えたかもしれないと思うと、ちょっと複雑な心境です。
Oさんは治療半ばで東京に転勤になり、その後の経過は不明です。
今こられている70代前半の女性Sさん。
この方は3年前の発症で、かなりの時間が経過してからの治療です。
右の耳鳴りがつらくて来室されました。日によって波が大きく、ひどい日は涙が出てくるとおっしゃいます。
この3年間で4つの病院をまわったとのことですが、4つ目のクリニックではろくに診察もしてくれなかったどころか
「もう神経が死んでしまっているよ」とひどい言われ方をされて、落ち込んでいたそうです。
そんな時、息子さんから
「僕の友達が今年突発性難聴になって、ハリで治ったらしいからそこ行ってみたら?あきらめちゃダメだよ!」
と、電話で励まされたとのこと。
問診を進める中で、突発性難聴治療に対する病院の対応にいまさらながらやりきれなさが募ってしまいました。
あたかも
「あなた、運が悪かったね。一応やるだけはやってみるけどね。」
みたいな雰囲気を患者さんに与えてしまっている…。
しかもSさんの場合は完全に突発性難聴でありながら2軒目までは歳のせいといわれ、何も治療をしてくれなかったようです。
3軒目のペインクリニックで神経ブロック(注射)を数十本受けましたが、効果は出ませんでした。
そして4軒目で神経が死んでいると宣告されてしまったのです。
「大丈夫、死んでなんかいませんよ。だって聴力検査で75dB(デシベル)という数値が出てるじゃありませんか。死んでたら全く聴こえません。だから希望を持って治療を受けてください。」
と励ましたものの、内心は確信が持てておりません。^^;
今、10回くらい治療しましたが波が小さくなってきていることと、聴こえも以前より良くなっている感じとおっしゃいます。
できれば一度病院で聴力検査を受けて数値の変化を確かめたいところですが、ご本人、病院にはもう行きたくないようなので強くは勧めないことにしました。
ご本人の自覚症状で改善状況のチェックをしてゆくしかありませんがそれはそれでいいと思います。
Sさんのようになかば固定化してしまった突発性難聴の治療法の確立にも努力してゆかなければなりません。
西洋医学は日々進化をしていますが、こと突発性難聴に関しては旧態依然とした治療法で停滞してしまっている感がします。
最後に。
突発性難聴に限らず耳の症状でつらい生活をされている方には、あきらめないで!と言いたいです。西洋医学がダメなら東洋医学がありますよ!
鍼灸を含め、東洋医学にはいろいろな切り口、手段があります。
それらを駆使すればまだまだ可能性は広がると信じています。
今回はチト長い記事になってしまいました。^^)
続編の突発性難聴に朗報(その4)を読む
突発性難聴について、ホームページに詳しい特集がありますのでこちらも参考にしてください。
トピックス『突発性難聴と鍼灸治療』
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2009年10月02日
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