2024年01月10日

シリーズ突発性難聴と鍼灸治療(2)

シリーズ突発性難聴と鍼灸治療(1)を読む



突発性難聴とは、ある日突然片方の耳が聴こえなくなる病気で、年間約35,000人が発症しています。
その怖さ、不便さはなった方でないとわかりづらいので私の体験をまず書きたいと思います。

今から約10年前の2014年3月末の夜明け前にそれは突然やってきました。
今でもあれは本当にあったことだったんだろうか、夢の中の出来事のように思えます。

朝の5時前でした。
「ザーー、ザーー」と激しい雨でも降っている音で目を覚ますと、・・・自分の耳鳴りでした。
今まで経験のないほどの大きな雑音で、気がつくと左耳の奥が詰まっています。
何度つばを飲んでも、耳をもんだり引っ張ったりしても詰まりは取れません。
(ただ事ではないかも……。)

寝室を出て居間のテレビの前に座り、両耳の聴こえを確認してみる。
右は正常だが、左は明らかにおかしい。
音は聞こえるが、何を言っているのかがよくわからない。


2014年は、突発性難聴治療を本格的にやりだして6年くらいの頃でした。
大勢の方の突発性難聴に接してきた私です。
典型的な症状を突き付けられ、もはや疑う余地はありませんでした。

めまいや吐き気はないのでいつもどおりに朝食を済ませ家を出る。
自転車15分の道すがらも特につらさは無い。
治療室に着き、すぐに自分の治療に取り掛かる。

耳の周囲に10本、首肩に5本、計15本のハリを打つ。
短いハリなので刺したままで1日を過ごすことにした。

8時30分から患者さんの治療がスタート。
なんとなく二つの頭が左右に分かれて乗っかっているような感じ。
右耳は正常なので会話には困らないが、左耳の奥で自分の声が反響する。
ときどき、患者さんの声が割れて聴こえる。


2時間が過ぎた頃、気がつくと耳の中の反響が少し小さくなっている気がした。
耳鳴りは相変わらず続いているが、そういえば朝ほどひどくない。
仕事に集中できるようになってきた。

午前中の治療が終わった頃には、反響音と詰まりが半減していた。

(これは治るかも。)

昼食後、30分の昼寝をした。

目覚めると耳鳴り以外の違和感はほとんど取れていた。
耳鳴りもBGMを止めて静かになると分かるが、治療中は気付かないほどだった。
うれしかった。
なにより、耳の閉塞感と自分の声が頭に響く不快感が消えたことがありがたかった。

1日の治療をなんとか無事に終えた夜、ハリを取った。
自宅に帰り入浴後、再度同じツボにハリを打ち、夜中も刺したまま寝た。

怖かったです。
昨日の朝のような症状に戻ってしまわないかと……。

大丈夫でした。
とてもスッキリした感じで起きられました。
2週間、毎日ハリを続けました。

発症4日目めの夕方にはほとんど完治状態になりました。
状況はというと、ほぼ完治です。
結局、一度も耳鼻科に行ってないのでどの程度の突発性難聴だったのかは不明です。

自分が突発性難聴になってしまったことは、今でも夢のようで、……でも現実。
まったく前ぶれがありませんでしたから余計にピンと来ていません。
原因は不明ですが体からの警鐘と謙虚に受け止めます。

怖い思いをしましたが、良い経験をしました。
患者さんの気持ちがよく理解できました。
そして何より突発性難聴のハリ治療効果を自分の体で実感、実証できたことの意義は大きかったです。

「突発性難聴はハリで治ります!」と声を大にして言いたいと思います。

ただ、前回も書きましたがケースバイケースでハリで魔法のように治せるわけではありません。
私の場合は、治りやすい条件がそろっていたのだと思います。

治りやすいケース、治りにくいケースは何がどう違うのか、その辺のことを次回以降書いていきたいと思います。


Produced by かもめ針灸治療室




posted by かもめ at 10:30| 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 突発性難聴と鍼灸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする